お隣の家が空き家になっていて、一家離散。 このままだと家が差し押さえになってしまいそう・・・・・。 そういう状況下にあるスミス一家。
両親は他界、お爺ちゃんは家をでてラスベガスへ。 その後行方は分からずじまい、現在入院しているという噂。
一人娘はドラッグ中毒で法的な書類にサインできる状態ではない・・・・・。
ここまでが私達が把握していたお隣さんの状況でした。
ところが、ジムの携帯に行方がわからなかったお爺ちゃんの電話番号が残っていて、ダメもと電話をしてみたところ・・・・・。 繋がった!
お爺ちゃん、キャンピングカーでラスベガスに行った後、戻ってきてサンタクルーズの近く、アプトスという町に自分で家を建てたそうなのです。 お爺ちゃん、大工さんだったそうで・・・・。 で、しばらくアプトスに住んでいましたが、今現在、病気が悪化。 ホスピスに居る事がわかりました。
“ホスピス“ ホスピスとはもう治療のしようがなく、病気を患った人が最期の時を過ごすための施設です。
私の従兄弟、双子の兄弟の1人が何年も行方不明になった挙句、見つかったのは練馬区にあるホスピスでした。 双子の兄に誘われて一緒に面会に行きました。 病室のドアを開けた瞬間、ベッドの上に居た男性がどう見ても、弟の姿ではなかったので、双子の兄は、「すみません、部屋を間違えました〜。」 と退室。 もう一度部屋の外に付けられた名前を確認したのです。 で、やはり間違ってはいなかった。
そういう記憶がある、それがホスピスです。
日本で私が一度だけ面会に行った経験のあるこちらのホスピスは、静かで、悲しげ・・・・・。 誰もが息を潜めてひっそりとしてる。
そんな印象を受けました。
昨日、ジムがお隣のスミスさんのお爺ちゃん、マックに電話をしたところ、ホスピスは家から30分程ドライブした所にあることがわかり、2人で面会に行くことにしました。 マックさん、電話での口調はハッキリしているようでしたが、ホスピス内はコロナのバイルスが蔓延していて、物凄く危険だからマスクをしないと・・と注意してくれました。
え? それって事実なのか? 受付に電話で確認してみたところ、そんな事はないですと・・・・。ただマスクは付けて下さいとのこと。
マックさんの思い込みのようです。
私としてはアメリカのホスピスを訪問するのは初めてで、どんな場所なんだろう? ロキを連れて行ってきました。
建物は一階建てで、駐車場は訪問客で一杯。 どこにもパーキングできずに路上駐車に。 ロキを連れては入れないだろうから、私はホスピスの庭で待っている事になるだろう、と想像しながら受付に向かいました。
ところがワンコが施設内に入るのがオッケーだって! さすがはアメリカ、ドッグフレンドリー、というか、皆への癒し効果を考えてなのでしょうか? ジムと私は持参したマスクをしてロキを連れて、マックさんの病室に向かいました。
玄関先には大きなロビーがあって、訪問客と施設に入居している患者さんでいっぱい。 それに働いているスタッフが物凄くたくさん居て驚きました。 湿った雰囲気は一歳なし。 ロビーの飾り付けもアメリカ的。 確かに目を凝らして観察すると車椅子に座っている患者さんの多く、その人達の顔色は青白い感じ。 ロキを見つけるとその蝋燭のような顔が少しだけ緩む・・・・・。 こっちへ来て撫ぜさせてほしい・・・・。 そう私は受け止めたので、ロキを連れて挨拶に。 ロキは人混みの多い所ではあっちへ、こっちへ、撫でてもらえるのが嬉しくて皆に挨拶をして廻ります。 もちろん、吠えたりしません。 癒し効果すごいです。 患者さん達の顔が笑顔になる。
廊下を通ってマックさんの部屋に行く際も、看護師さん達のウェルカムな態度にロキは上機嫌。
マックさんの部屋が見つかりました。 3人の相部屋で入り口に一番近いベッドにマックさんは居ました。 痩せちゃってました。 でも会話はしっかりしてて、記憶もしっかりしてる。施設内があまりにも活気があるので、これじゃ煩くて眠れないね、って言うほどです。
孫娘の話と、彼女の元旦那の話を少しだけした後、誰か気になっている人がいるなら言ってくれる? 僕が代わりに尋ねてみるよ、というジムの問いかけにマックさん、すぐにパティーさんという友達の名前と住所を空で言いました。 すごい、住所、記憶してるんだ。
パティーさんの家を探しあてたジムと私はアポなしで玄関ベルを鳴らしました。 するとパティーさん、私達を家に招き入れてくれました。
なんと、マックさんの飼っていた犬をパティーさんが引き取ったのだそうで・・・・・。 パティーさんはマックさんが建てた家のご近所さんで良い友達だったようです。 かつパティーさんはソーシャルワーカーなのだそうで、一日に2回、マックさんに電話をかけて話し相手になっているのだとか。
家族を亡くしたマックさんには良い友達がいた事、本当に良かったです。
孫娘は現在メンタルホスピタルに収容されているとのこと。 そして頼りの元である孫娘の元ご主人、2人の間には双子の兄弟がいるそうです。 お父さんが引き取って、今は再婚されていると・・・・。 ジムはこの元ご主人に何度も電話をして、お隣の家が差し押さえになる前になんとかしなくては、と相談しようとしていますが、連絡が取れません。
マックさん、こちらのホスピスに1年も入居しているのだそうで、痛みはないとの事・・・・。 身体的な痛みが無い代わりに、心の痛みはどれだけあるのだろう? そう思うと、今の自分の生き方、心のあり方、考えさせられる事がいっぱいありました。
少なくともアメリカのホスピスに対する私の印象は悪くなかったです。
こちらの犬がマックさんが飼っていたドリー。 今は友達のパティーさんが引き取ってくれています。
飼い主のマックさんがホスピスに居るので、心なしか寂しそうに見えてしまうのは
私の思い過ごしでしょうか? 以前にホスピスに面会に行ったこともあるようです。